「昔あったずもな(=むかしむかし)」で始まり、「どんとはれ(=おしまい)」で終わる。遠野の昔話語り部・正部家(しょうぶけ)ミヤさんの語りが披露されました。
主に保育園の先生がたが中心になって結成されている会が、このたび「昔ばなし保育セミナー」を開催されました。8月も押し迫った時期でしたが、多くの会員の皆さんが参集されて、中身の濃い熱のこもった研修が繰りひろげられました。
いくつかの講座の中に、遠野の昔話語り部として全国的にその名を馳せている、正部家ミヤさんの語りを聞く機会が設けられました。かつて、岩手県遠野を訪問された天皇、皇后両陛下の前で昔話を披露された語り部が、正部家ミヤさんその人であることは、あまりにも有名です。
休憩時間中など、誰とでも気軽に、にこやか笑顔で言葉を交わしてくださいます。お年をお聞きしましたら、なんと大正12年生まれで、今年88歳になられたとのこと。この歳でありながら背筋にぴんと張りを持たせて、よどみなく表情豊かに語られる姿に、歳の衰えなどみじんも感じさせません。年を重ねてなお一層かくしゃくとは、このことです。今も、全国を巡って公演を続けるなど、多忙な日々を送ってみえるとのこと、また昔話集やCD,DVDなど、数々の記録集を出されています。
幼いころ、父親のひざに抱かれて聞いた中で、今でもすらりと出てくる話は、なんと300話を下らないそうですから、驚嘆の一語です。「小さいころに覚えたものは、忘れないものなのですよ。」と、にっこり笑顔でさらっと言われました。今回、会を進行する中で、あと10分ほどの時間が生まれればそれなりに、あと5分ほどでと言えば、時間に見合った語りが自然と口を突いて出てきます。さすが、遠野語り部第一人者の貫禄です。
遠野なまりの昔話は、最初とっつきにくい面はありますが、耳を傾けていると少しずつ慣れてきて、ほんわかと理解できてくるので不思議だなと思います。(金)


